異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
今は極光明徳大神様のまします神殿……というかお屋敷にお邪魔しているんだけど、意外にも日本の昔ながらの建築様式で、何だか懐かしい。
室内も木造で太い梁や柱がしっかり建物を支え、襖で室内が区切られてる。
砂利が敷き詰められた日本庭園が見える縁側のある畳の部屋で、ずっと2人と向き合って待ってたんだけど。ちゃぶ台なんて昭和めいた小さなテーブルが広い室内にある違和感。
「あいにく大神はお留守みたいですね」
「そうか、それは仕方ないのう。しばし待つとするか」
「……………」
レヤーとヒスイは湯飲みを持ち、ゆっくりと寛いだ様子でお茶を堪能してる。 あたしも湯気を眺めながらぼんやりして……って!
「ちょっと待ってよ。 なんであなた達、そんなにしっかり馴染んじゃってるわけ!? 仮にも太陽神のお屋敷なんでしょう、ここは」
ガバッと立ち上がって2人を交互に見れば、ヒスイは全く動じる事なくお茶をすすってる。
「まあまあ。美味しいお饅頭も出していただきましたから、とりあえず休憩しましょう。お芋の餡がとってもホクホクして溶けるような甘さなんですよ」
はい、とレヤーにお皿ごと差し出されて、うっと言葉に詰まる。たしかに、この優しくくどくない薫りは食欲をそそる。食べ物に罪はない。頂けるなら食べた方が……いやいや、だけど。