異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「ちょ、何をのんびりと笑ってんの!? あんた、皇子の護衛なんでしょう! ヤバい状態なら早く手当てしなきゃ……」

「大丈夫だ」


ハルトはセリス皇子に歩み寄ると、ヒョイと彼の体を片腕で抱き上げる。腕を肩に回して支える形になった彼は、ニッと笑いあたしにからかいを含んだ声音で言った。


「そんなに心配しなくても、ただ気ィ失ってるだけ。明日の朝には目が覚める……なに、あんた。セリスのことすっげ~気になんの? よかったら、隣で寝れるよう頼んでやろうか?」

「ばっ……な、なに言う出すのよ、このバカ!」


下世話なからかいをしてくるハルトにムカついて、サンダルを履いた足で脛を蹴ってあげた。案の定セリス皇子を支えてるヤツは避けれなくって、見事に命中。「ぐあっ……」とハルトが微かに呻いて涙目になったから、気分がスッとした。


「お、おまえな~……動けねえ時に狙うなよ。しかも、地味に痛えところを狙いやがって」

「ふ~んだ! よけいな事ばっかり言う誰かさんが悪いだけじゃない?」

「か、かわいくねえ! おまえ、マジでかわいくねえぞ」

「あんたに可愛いと思われなくて結構ですから」


ハルトに向かってあっかんべえをしてやったら、かわいくねえ! を繰り返してたけど。そのままスルーしておいた。


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