異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
大神のおっしゃる意味がよくわからない。
「あの……それって、どういう?」
「つまるところ、物質的な意味では全て意のままにできるってことです。……あだだだっ! すいませんが、あ、脚……早く戻してくださぁい……」
レヤーがヒイヒイ言いながら解説してくれたけど、信じられない気持ちで聞いてた。
「物質的な意味で……って、つまり……」
《おぬしが新たな創造者となるも可能、ということじゃ》
大神はスズメからネズミに戻ると、今度は羊羮をかじり出した。
「え……」
《世の王なる者は、その名が示す通りに唯一無二の力を振るう者。創造神すら超えると言われる力を持つ。その姿は人ばかりとは限らぬものなのじゃ》
何だかスケールが大きすぎる話に、頭の理解が追いつかない。神様すら超える絶対的な力……一体、どんなすごいものなんだろう。ただの凡人のあたしには想像もつかない。
《じゃが、本来世の王なる者は血は関係ないのじゃ。現れるは人の種族ばかりとは限らぬ。どの種族いつどこで現れるかは、誰にも解らぬ。そこに咲く花がそうかもしれぬし、明日生まれる鳥がそうかもしれぬ。真に謎の存在なのじゃ》
「え……それじゃあ。あたしは違うんですよね? 遺伝しないんだったら」
《うむ、その通りのはずなのじゃ。本来ならばな》
ポン! と軽い音がして、いつの間に白髪頭のおじいちゃんが現れた。白い髭が立派でブカブカのローブみたいなものを着てる。
おじいちゃんは手にした湯飲みでお茶を飲み、ふうと息を吐く。
「不思議じゃのう。水瀬の巫女の力は確かに世の王なる者の力じゃ。ただ、血の隔てゆえか絶対的な力ではないようであるが」