異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
珍しく、ヒスイがそんな親切な話をしてくれた。
「……ヒスイが優しい……何を企んでるの?」
「失礼なやつじゃ。わらわは親切心で教えてやったと言うに」
扇を広げて口元を隠したけど……見えてますよ。紅い唇の端っこがクイッと上がってるのが。
「あの!」
「あれ、レヤーどしたの?」
レヤーがどうしてか両翼で鴨居を掴み、ダランとぶら下がってる。
「あ、脚治してくださぁい……」
「そういえば。ごめん、ごめん。頭の中で勝手にレヤーを改造しちゃったんだ。今、戻すから」
「早く、お願いします~つ、翼がしびれて……今にも落ちますうぅ……う」
元の通りになるように願ってもつまらないから、お詫びに立派な羽毛になるように祈る。
瞬間――
レヤーがモサッとした羽毛に覆われ、まん丸な緑色の毛玉が出来上がった。
「……なんでこうなるんですかあぁ……」
「……さあ?」
頭とおぼしき場所から、だ~ッと涙が流れてる。
「これなら禿げる心配ないでしょ、うん! きっとモッテモテ」
「顔がわからなきゃモテようもありませんってば。戻してくださいよぅ」
「……仕方ないね」
せめて、クチバシが二倍量になるようにと想像してあげた。