異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「そういえば、魂呼びに訪れた目的を忘れるでないぞ」
「ああ、そういえばそうでしたねえ」
ヒスイの言葉に、二倍量になったクチバシを持て余し、涙がちょちょ切れたレヤーが相づちを打つ。
あたし以外は全員縁側に座って日向ぼっこしてる。どこのお年寄りですか……と言いかけて、そういえば千年単位と万年単位で生きてることを思い出した。
「あの山に行きたいのですが、何故か弾かれてしまうんですよ」
レヤーが翼で示した先を眺めてから、おじいちゃん大神はふむと顎髭を撫でた。
「それは無理じゃな。生者はあの山には昇れぬ」
「そ、そうなんですか?」
大神の言うことだから、間違いはないだろうけど。どうか間違いであって欲しかった。
だって、ここまで来たのはセリス王子の魂を取り戻すためなんだ。その目的を果たすどころか、前段階でつまづくなんて。
「あの……あたし、どうしても会わなきゃいけない人がいるんです。なにか方法はありませんか?」
「……」
大神は腕を組んでううむ、と考え込んでる。よほど難しいことなのかもしれない。
「本来ならば輪廻に触れるはたとえ神であろうが、禁じられておる。神であろうと、輪廻の一部に支配されしものであるには違いないからじゃ」