異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
禁じられた山へ向かう空中の道を通りながら、あたしはいろいろと察してしまった。
(そっか……もしかしたら)
レヤーは長い間生きてると言ったけど、それは天上人と融合した影響で。もとは普通の巨鳥族。彼らの寿命は長くて300年かそこらみたいだ。
なら、レヤーはそれだけ出会いと別れを繰り返しているということ。
どれだけ親しくなったとしても、いずれ別れはやって来る。絆や情が厚く強いだけ別れは辛い。レヤーはもしかすると、その為に同族の親しい鳥を作らないのかもしれない。
3万年。言葉にすると簡単だけど、16年しか生きてないあたしには想像しきれないほどの長い時間だ。
(あたしも……きっと生きられたとしても、せいぜいあと100年)
ミッツ村のおばあちゃん達ほどのご長寿は、現実だとあまりない。世界トップクラスの長寿を誇る日本だって、80で亡くなれば大往生だ。
それを思えば――
もしもあたしがこの世界で生きたとしても。10近く離れてるバルドと、25年離れたセリナとは先にお別れする確率の方が高い。
きゅっ、とレヤーの羽毛を握りしめる。
(イヤだ……)
まだ、バルドとどうこうなると決まってないのに。想いが通じあってさえないのに、こんなにも先のことを思い煩うのはおかしいかもしれない。
でも……
あたしがこれから足を踏み入れるのは、きっと大切な人たちが生を終えてやって来る場所。本来、生者は入れないところ。
どうしても、考えることがやめられなかった。