異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ミコ、ダイジョブ?」
「ん?」
片言の日本語で話しかけられて、おや? と顔を上げれば先ほどセリス皇子をブッ飛ばした女性だった。
身長155センチのあたしより頭ひとつぶん背が高い。よく焼けた肌に緑がかった黒髪で、瞳は茶色い。長い髪をポニーテールみたいに結び、ひとつにまとめて紐で編み込んでる。
彼女だけは上下に分かれた服を着ていて、ミニスカートに丈の短いシャツとやたらに肌の露出が高い。おへそが見えてますが、見事に割れた腹筋。顔つきは美人なのに、何だかギャップがすごい。
「あたしは大丈夫だけど……あの、あなたはどなた?」
「ワタシ?」
女性が自分を指さすから、コクコクと頷く。まだ日本語を十分に理解してないからか、どう答えようか苦戦しているみたいだったけど。そこで助け船を出してくれたのがハルトだった。
「こいつは部族長の娘で、ロゼッタって言うらしい。何でも、自らおまえの護衛に志願したらしいぞ」
「え……護衛に?」
護衛という単語はわかったのか、ロゼッタさんはぶんぶんと頭を縦に振った。
「ワタシ、ミコ、まもる。アブナイ、ダメ」
「……もしかしてセリス皇子をぶっ飛ばしたのも、あたしを守るためだったの?」
「コイツ、キケンある。ヨクナイ」
ロゼッタさんはやたらにセリス皇子を睨み付けてる。はっきり嫌いだと顔に書いてあるけど……。
本当に、大丈夫なの? 帝都まではセリス皇子も一緒なんだけど。
何だか頭が痛くなるネタが増えただけのような気がした。