異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



《ずいぶんと呑気なものだな。これから永霊界に赴くと言うに》


卵バージョンのままの雷焔が、あたしの胸元で呆れた声を出した。


ちなみに、雷焔は天上界では暴れられないとのこと。まだほんの子どもだから、神様の力が満ちたここでは力を振るえないらしい。


あたしでもコントロール可能ということで、自分から希望して雷焔をそばにおくことにした。

雷焔の本体が卵のままなのは本当らしい。つまり雷焔はやっぱり孵る前の段階で、赤ちゃんですらないってこと。


それであの夜に発動された焔の力って。実際にどんだけのパワーを秘めてるのか想像もつかないけど、神をも滅ぼせる四龍の子どもなら納得できる気がした。


あたし達は雷焔の導きで、永霊山と呼ばれるとてつもなく高い山へ向かって歩いてる。大きすぎて全然近づいてる気がしなかったけど、案外あっさりと麓の森へ着いた。


麓の景色と山の境界線は見えないし、永霊山はごく普通にそびえ立って見える。


だけど、資格がない者は許可なく近づいただけで厳しい罰を受けるらしい。


あたしとレヤーが弾き飛ばされたのはまだかわいい方。同行してたのがヒスイとレヤーだったから、お咎めなしで済んだわけで。もしもあたしだけが昇ろうとしたら、魂が捕らわれて二度と現世に返してもらえなかったかも……なんて怖すぎる話を聞きました。


よかった。ムカついたけどヒスイとレヤーを連れてきて、と内心胸を撫で下ろす。


だって、仮死状態が長く続いたら正式にお亡くなりになってしまいますからね。まだ16なんて若さで死にたくはありませんって!


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