異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「きっと、共に過ごせばわたくしもあなたに恋をしたでしょう」


真摯な瞳でそう告げられ、ドキンと心臓が跳ねた。


どこか苦しさを感じさせる吐息をこぼしたセリスさんは、あたしを抱きしめる腕に力を込める。


けれど、と彼は呟いた。


「……どうやらわたくしは、失恋が決まっているようです」

「え?」


どうして、と意味がわからずに瞬いていると。彼はまぶたを閉じたままなぜかあたしのお腹……下腹部にソッと触れた。


「あなたの大切なひとは……きっとあなたの帰りを待ってらっしゃいます。それに乗せて頂くのは厚かましいかもしれませんが……」


ふ、と目を開いて彼は苦笑いをする。


「あなたの大切なひとに、いろいろとお話ししたいことができました。連れていってくださいますか?」

「もちろんです!」


あたしはセリスさんから離れると、勢いこんで話した。


「きっと、あなたの帰りを待ってる方はいますよ。だから、そんなに悲観しなくてもいいです。もしも身元がわからなくても、あたしが引き受けますから安心してください」


ドン! とない胸を叩けば見事な音がする。セリスさんは笑って、それは頼もしいですねとおっしゃってました。


「それじゃあ、そろそろ眠りましょう……あれ?」


眠るために横になろうとしたところで、知らない子どもがいつの間にか横に立ってて驚いた。髪は黒で瞳が金色なんて珍しい。3つくらいの男の子だ。


「どうしたの、きみ? 迷子かな?」


あたしが話しかけると、男の子はいきなり抱きついてきゃっきゃっと笑い声を上げて。


『―――』


あたしが知らない言葉を喋った。



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