異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ナゴム、無事だったか!」
ぎゅうぎゅうに抱きしめられて息が……豊かなバストに挟まれて、ぐる゛じい゛でず……。
「ロゼッタさんも無事に回復されてよかったですねえ」
《うむ。こやつであれば生命力は桁外れであったが、正直今度は危なかったからのう》
むぎゅううう。
「わたし、ナゴム守るって決めてた。だからいつまでも寝てられないよ」
「さすがにロゼッタさん。強い意思の力が糧となったんですね」
《うむ。想いは強い作用を及ぼすからな》
「おや?」
レヤーとヒスイがほのぼのと会話をしているのはいいけど……。
「和さん、真っ青でぴくぴくしてますよ」
翼の先でつんつんするな! それより助けろおお!
あたしの声なき叫びが聞こえたか、慌ててレヤーが引っ張り出してくれたけれど。
あ……危なかった。あと数秒遅れてたら、マジで永霊界へ旅立つところでした。
顔を挟めるほど豊かなバストはある意味凶器になるのだと初めて知りました。
「私達が休んでいた間にも無事に条約の締結はなされたようですね。そろそろ帰国のアナウンスがされると思いますよ」
妙に情報通のレヤーとヒスイの話で、ディアン帝国へ帰るスケジュールがみえてきた。
そりゃそうだ。何だかんだと2ヶ月近く滞在してたんだから、そろそろ国へ戻らないとバルドも他の王子たちも役割を果たせない。
(だけど……なんか寂しいな)
初めてできた異世界の友達であるユズやキキと離れるのも寂しい。
何より……
あたしは、ここでバルドと結ばれた。
いろんな思い出が詰まったここを離れるのは、本当に名残惜しかった。