異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「ありがとう……」


ロゼッタさんには聞こえなかったかもしれないけど、そうつぶやいた。


護衛としては近衛兵が部屋の外にいるし、レヤーが大口を開けて大の字で寝てる。ヒスイは疲れた、とペンダントの中へ戻った。


久しぶりに一人っきりで考える時間ができて、意味もなく天井を眺めてみた。


「……はあ、風邪……かな。やっぱり」


さっきの昼食会でも、何かおかしかった。好き嫌いはなかったはずなのに。 急に肉っぽいものがダメになってる。魚はだいじょうぶだったけど、美味しそうな匂いでさえ胃がおかしくなりそうだったんだよね。

だからといって量が食べられるってこともなくて。少しずつしかダメだった。


一応、意識が戻る前には体を慣らすためにいろいろしてくれたらしいけどね。


「……なんか胃がムカムカする……胃腸風邪?」


肩も凝るし胸が痛い。筋肉痛ではないけど……腰の重さや張りと関係あるのかな?


たぶん、熱があることはロゼッタさんにもばれてるはず。薬があったらちゃんと飲まなきゃね。風邪は初期症状のうちに治すことが肝心。


とにかく横になろう、とベッドに寝そべる。うつ伏せになった方が楽かな……とごそごそしているうちに、ノックの音が聞こえた。


「はい、どうぞ~」


どんな姿勢が楽かといろいろ試している中、顔を上げたあたしは驚いた。


だって。てっきり侍女かロゼッタさんだと思ってたのに、入ってきたのはバルドだったんだから。


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