異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「今から調べる」

「は?」


立ち上がったバルドが、唐突にそんなことをおっしゃいました。 一体何が言いたいのか首を捻っている間にも、彼は侍従長のヒルトさんを呼び何事か指示を出す。


ヒルトさんは直ぐに頭を下げて退出すると、入れ替わりでミス·フレイルが慌ただしく部屋へ入ってきた。


『失礼いたします、バルド殿下。和さまをご診察させるとのご指示でございますね』

「え、診察って……あたし、そんなに体が悪いように見えるの?」


よみがえりの儀式の影響か、自分でもいつもと違うとは解る。けど、少し休めばよくなるくらいに軽く考えてたけど。もしかしたら、予想以上に体がダメージを受けてるの?


「どこか、いつもと違う」


あろうことか、バルトはあたしの頬を指で摘まんで引っ張ってますよ。


「いひゃいってば!」


むに、と思いっきり引っ張られたせいでほっぺたが痛いってば。予想もしなかったバルトのおふざけに、むくれたくなるやら呆れるやら。何かおかしな気分になる。


「やはり、少しむくんでるな」


バルトの何気ない指摘に、ぐわ~ん! とショックを受けた。

「え……え。むくんでる? ホントに!? ぶよぶよしちゃってるの、あたしは」


自分じゃそんなつもりはなかったけど、やっぱり他人が見たらはっきりとわかるのねとムンクの叫びと化していたら、ミス·フレイルが眉間にシワを寄せてた。


『あれほど婚姻前にはお止めくださいと釘を刺しましたのに……お若いせいで無駄なようでしたわね』


盛大なため息をつきそうな口ぶりですが。はて、ミス·フレイルには何を言われてましたっけ?


< 584 / 877 >

この作品をシェア

pagetop