異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「いえ、ぼんやりされるのも仕方ありません。眠気がおさまらないのですよね?」
「え、はい。気がつくとうつらうつらしてたり……すごく眠くて。今も気を抜くと即寝落ちしちゃいそうです」
「他に気になることは? 匂いが苦手になったようなことはありませんか?」
まさに自分が悩んだことをズバリ言い当てられて、なんで解るの? って叫びそうになった。
「あ、そうです。なんだかお肉が……前は平気だったんですけど」
重ねられる質問に答えていくうちに、どんどん不安が募って胸を重くする。
もしかしたら……あたし、なにかの病気なのかな? って。
みんなが知ってるようなのに教えてくれないのは、命にかかわるような重病だから?
(そうだったら……どうしよう)
体調不良が不安をよけいにあおってくる。ギリギリと胃が痛むせいか、吐き気が喉をせりあがってきた。
「和さま、気分がお悪いのですね? どうぞ吐きたい時はきちんと吐いてください」
「すいません……」
ごめんなさい、といいながらこらえきれなくて吐いた。こんな姿をバルドに見られたくなくて、衝立で隠してもらいながら。
おじいちゃん先生はあたしの様子をずっと見守って下さり、お腹に手を当ててから、ふむとうなずいた。
「これで、間違いはありませんね……おめでとうございます。和さま、バルド殿下」