異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「は!?」
思わず半目になって語尾が上がったのは仕方ないと思う。
だって、命にかかわる病気なのになんで“おめでとう”なんて言われなきゃいけないの?
「あの……あたし、病気なんですよね? 命にかかわるような」
「命はたしかにかかわりがありますね」
おじいちゃん先生は髭を撫でながら、ふおっふぉっと笑ってる。
命にかかわるのに、なんで笑うのよ! って怒鳴ろうとしたら、立ち上がった瞬間めまいに襲われてベッドに寄りかかった。
「気を昂らせるな。もうひとりの身体ではないのだからな」
バルドがそっとあたしの身体を支えて、そう言ってきたけど。それって何だか誤解しそうな表現なんですけど。
「ひとりじゃないって……あの……もしかして、バルドは……その……あたしをちょっとでも大事に……思ってくれてるの?」
そう口にしてから、カアッと頬が熱くなった。
(バカバカ! どさくさ紛れに、何を図々しいことを訊いてるのよ)
うわぁあ、と頭をふりたくなった。バルトはさりげなく腰を支えてくれてるけど……。
「ご、ごめんね。今の忘れて……あの、もうだいじょうぶだから離して」
「離さない」
キッパリと、バルドはそうおっしゃいました。え、何で? と顔を上げれば、無表情ながら真剣な彼の黄金の瞳とぶつかった。