異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「オレが信じられないのか?」
バルドが鋭い瞳で問いただしてきた。ぼんやりしてた頭だけど、その冷たさにぎょっとして慌てて彼と目を合わせた。
「ち、違う! バルドも見たでしょう、あたしを狙ってきたやつらがどれだけセイレム王国へ被害を与えたのか。セリナや国王陛下まで拐うような力があるんだよ? やつらが本気で来たら、バルドやみんなが無事って保証は何もないじゃない」
「だが、生きている」
バルドはあたしをベッドに下ろすと、そのまま腰を落としてあたしと目線を合わせる。
「オレも、おまえも生きている。それは生きようと必死に足掻いた結果だ。諦めることなく努力してきたおまえだから生き残れた……そして」
スッとバルドはあたしのお腹に手を当ててジッと見入る。
はて、なんでお腹を見るんだ? と不思議に思ってると。
バルドの口から、とんでもない言葉が放たれた。
「――だから、ここに新しい命が宿った」
「……え?」
目を、パチパチと瞬かせる。
空耳?バルドが変なことを言ってたけど。きっと気のせいだよね。
「バルド……今、なんて?」
「おまえのここに、新しい命がいる、と言った」
バルドは下腹部を軽くさすると、あたしを見上げてきた。
「おまえとオレの子どもだ」