異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ご懐妊でございます、和さま」
おじいちゃん先生が呆然としてるあたしへ追い打ちをかけてきた。
「赤子の様子からすれば、おそらくご誕生は7ヶ月ほど先でございますね」
「7ヶ月後……え?」
何を、言っているの?
あたしのお腹に、赤ちゃんがいる?
そして、7ヶ月後には生まれるって……。
「い、一体……何の話? あたしが妊娠してるとか……冗談にしてもたちが悪いよ」
自分でも、顔がひきつってるのがわかる。だって……そんなの。あり得ない。
バルドとずっと一緒に居られる確約もないあたしなのに、子どもなんて。
「冗談ではない。和、おまえは懐妊した。契約した時の子どもだ」
「…………」
バルドが無表情なまま告げてくる現実が、重すぎる。
震える両手でそっとお腹に触れてみた。
「本当に……ここに……赤ちゃんがいるの?」
「間違いはございません。これでもわたくしはセリナ王妃陛下の出産時の医師団の長を二度にわたり務めさせていただいております。
この道に入り40年経ちますが、一度たりとも診断ミスなどしたことはありませんぞ」
ふぉふぉ、とおじいちゃん先生は真っ白な髭を撫でる。40年もの長い間その道に携わるプロなら、間違いないってことだよね。
じわじわと胸にしみてきたのは戸惑いと……。
嬉しい気持ちだった。