異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ほんとう……ほんとうに、赤ちゃん……あたしの……子どもが……ここに」
再度そっとお腹に触れてみた。まだ、何も感じないけど。新しい生命がこの中に生きてるんだ。あたしとバルドの血を分けた子どもが。
あり得ない、と思ってた。
あたしは一生ひとりで生きていくから、血を分けた家族だとか最愛の人が出来るとか。夢のようなものだと想像しては涙を堪えてきた。
でも、今。あたしの近くには最愛のひとがいて、幸運なことに彼の赤ちゃんまで授かれた。
こんな幸せって、あっていいのかな?
まだあたしは十代で、人間としてまだまだ子どもだ。日本の法律では結婚を許されるけど、そんなのはしたとしてもまだ先と考える人がほとんどのはず。
あたしだって同じ。義理の家族にこき使われたとしても、まだ高校生で大人とは言い難い。
人間的に未熟だし、ましてや親になるなんて論外だ。
子どもが子どもを育てるなんて最悪のパターンだから。
だけど……。
それはきっと、好きな人がいなかったから想像もできなかったんだ。
だって、今。あたしはバルドとの子どもでよかったと思ってる。この人の子どもをこの身体に宿して生めるなんて……すごくすごく幸せだって。世界中に叫びたいくらいなんだ。