異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
ところ変わって、学校帰り。バイト先のラーメン屋の近くにあるショッピングモールの衣料品売り場でございます。
芹菜はいくつか手に持って見比べながら、最終的に2点に絞り込んであたしに示した。
「ほら、これなんかどう? グリーンのチュニックと白のペチパン。やっぱ夏はナマ足にしなきゃね」
「うおぉ……芹菜さん、あたしに太い足を晒せとおっしゃるかい」
「何いってんの、若いからこそバンバン出さなくてどうすんの? 男はパーツで女を見るんだから、あんたのその足を見せずして何とする?それに、髪もキレイっしょ。アップにして白いうなじを見せりゃ一発だって」
「……そ、そう?」
「そ。あんた胸はかなりささやかであるかどうかわかんない程度だけど、髪と足だけはキレイなんだから自信持ちなって!」
…………。
褒められてるかけなされてるかわかんないですよ、芹菜さん。
けど、たぶん芹菜の言うことは的を射てる。あたしは自分の良さなんてわかんないけど、恋愛の先輩である親友のアドバイスを信じなくて何を信じるのやら。
よし、と思い切って買うことにした。後は100均で簡単なメイク用品を買わなきゃ……とわくわくしながら、小銭入れにあるはずの5000円を出そうとしたけど。
昨夜入れてあったはずのそれは、影も形もなかった。