異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「わざと知らせた」
あっさりと、バルドは理由を話してくれた。
「知らせた? 一体誰に?」
「おまえを狙うやつらに、だ」
「は!?」
自分の耳を、疑った。
今、バルドはなんて言った?
「ちょ……それ、本気で言ってるの? やつらがこの国で何をしたか、知らないわけじゃないでしょ! また同じことを繰り返す気!? それに……あたし、嫌だからね! この子を奪われるなんて。絶対に渡したりしないから!!」
何を考えてるのかわからないバルドからも護るように、お腹を抱えて後ずさる。涙目で彼を睨めば、バルドははっきりと認めた。
「子どもの情報は、言わば撒き餌だ」
「!!」
自分の……子どもなのに。撒き餌扱いした。 信じられなくて、ぶるぶると肩が震える。
「信じられない……バルドにとって、子どもも道具に過ぎないの?」
「そう思いたければ、思え。だが、この情報で連中に動きが出るのは確かだ」
バルドはあたしに近寄るためか、足を踏み出す。あたしはまだ彼にそばに寄られたくなくて、また後ずさった。