異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「奪われたら……どうしよう。バルド……怖いよ。あたし……赤ちゃん……命に代えても護りたい。だけど……あたしはまだ力が足りない……」
あたしはぎゅっとバルドにしがみつく。彼だから、こうやって素直になれる。不安な気持ちを吐き出せる。
「オレがいる」
バルドはお腹のなかの、まだあまり形になっていない赤ちゃんごとあたしを抱きしめてくれる。そのあたたかさと力強さは確かな自信に裏打ちされているからこそ、あたしのなかに響いた。
「オレが、どんな手段を使ってでもおまえと子どもを護る。だが、いくら言葉を尽くそうと不安な気持ちになるのも無理はない」
バルドは一度身体を離すと、腰と肩を抱いたままあたしを見据えた。
「これからのオレを、そばで見ていろ。言葉ではなく行動で示してやろう。誰よりも、おまえと子どもを護るのだと」
バルドはきっぱりと力強く宣言をした。