異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「帰国したらフローレンスくんと久しぶりに会えるんですね」
名前を教えてもらえたから、どんな子か訊いてみたかった。男の子は母親に似るって言うし、アイカさんに似たならかわいいだろうな。
「ええ。半年ぶりですもの嬉しゅうございますわ」
「半年……ですか」
え、まだ8歳なのに母親がそんなに長く離れてていいの? と思うあたしが古い頭をしているのかな?
あたしがお母さんと死に別れたのがその年だから、あの時は孤独感とか寂しい気持ちとかあったし。お母さんが恋しくて毎晩泣いたものだけど。
貴族の親子関係って平民よりさっぱりしてるものなのかな?
「それじゃあ……フローレンスくんは寂しがったりしません?」
「ええ、多少はぐずりますけれど。頭のいい子ですからすぐに解ってくれますわ。逆に労ってくださいますの。お母様だいじょうぶですか?……って。とてもよくできた息子ですのよ」
控えめに話してるけれど、アイカさんが息子を自慢に思ってることが窺い知れて悪くない。
(ちょっと子どもへの配慮に欠けてるけど……ちゃんと母親として息子を愛してるんだなあ)
女でない母としての優しい眼差しに、やっぱり彼女も母親なんだなぁって感じた。