異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
クスクスと笑ってるのはセリス皇子ですね、わかります。あたしだって、こんな色々と残念な子がいたら笑いますよ。
(うう……恥ずかしい)
皇子の顔が見られなくて、もそもそと食べ終える。お腹が落ち着いたところで、エークを横に近づけた皇子が何やら小袋を差し出してきた。
「えっ……と?」
「ガキの種が入ってます。栄養が豊富ですし、腹持ちもいいですから。非常食として持っていてください」
「あ、ありがとうございます」
そういえば、携帯食として幾つかの干した実は頂いたけど、3日の旅程では不安な量だった。いただけるならありがたいけど。
「あの、でも……皇子やハルトに、ロゼッタさんと……レヤーとダチョウ?の分の食料は大丈夫なんですか?」
「心配は要りませんよ。これはもともと私達が帝都から持ってきたものです。言いましたでしょう、これから何があるかわからないと。用心に越したことはありません」
「たしかに、そうですねえ」
それまでのんびりと走っていたレヤーが口を挟んできた。
「私の予知では、悪意を持った人間が接近してます。和さんを狙っての襲撃が予想されますね」
サラリとレヤーはとんでもないことを言い放つけど。そんな「今日はよく晴れてますねえ」なんて世間話と同じ調子で言うなああ!