異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「……って、ちょっと待ってい!」
あたしは思わず立ち上がってヒスイに怒鳴り付けた。
「あんた、バレバレな行動してどうすんのよ!」
何もない場所に現れたことといい、半透明なことといい、浮いてることといい、古代風の服といい、緑色なんて非現実な髪色といい。ツッコミどころ満載で、フォローのしようがないでしょうが。
何のために巫女のふりをしていたやら。
だけど、当の本人(?)であるヒスイは、あたしの非難などどこ吹く風。馬耳東風を地でいってた。
《やれやれ、相も変わらず騒がしいやつじゃ。バルドもよくこれと契る気になったものよのぅ》
あたしはヒスイの発言に、開いた口がふさがらなかった。
ちょ、こいつ……。
今、ナチュラルに「あたしとバルドがいたしましたよ」と吐きましたよね!?
しかも、バルドの幼なじみの目の前で!!
頭の中で何かがブチッと切れたのは気のせいじゃない……はず。たぶん。
あたしがわなわな震えている間に、ヒスイはハルバード公爵を更にじっくり見物してた。
《ふむ、こやつも大和の血を引いておるな。おそらく武家の家系じゃろ》