異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



街に入ったとたんに町民の方々が街道を埋めつくす歓迎ムードの中、バルドは車から降りて一頭のエークらしき鳥型の自動移動機を借りてきた。


そして、車に乗ったあたしに手を差し伸べる。


「和、来い」

「え……ぎゃっ!」


車のドアが開いた瞬間、バルドは片腕であたしを抱き上げる。そして、そのままポフンとエークの上に座らされた。


どうやらクッション代わりにあの例の粒子が使われたらしく、羽毛みたいに柔らかくて心地いい感じがしただけ。たぶんバルドは懐妊中のあたしの身体に配慮してくれたんだと思う。エークに腰を下ろしても全然衝撃なんて感じなかった。


そしてあたしが落ち着いた頃合いを見計らったのか、続いてバルドが後ろに座る。もちろん、両腕はあたしを抱きしめるみたいな、囲うような形で身体を支えていてくれる。


(う……うわぁ……は、恥ずかしすぎるんですけど)


跨ぐのは抵抗あるから横座りしたあたしだけど、バルドにしっかり護られてる安心感はある。だけど、気のせいか身体が限りなく密着していましてですね……し、心臓がおかしくなりそう。


バルドのたくましい腕や広い肩や厚い胸板なんてものをしっかり感じ取れる上に、抱きしめられているも同然の姿で衆人環視のもと何kmもパレードしなきゃならないって、いったい何の拷問か羞恥プレイですか!?


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