異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



何なんだ、この残念感あふれるおっさ……おじさまは。本当にその辺のおじさんを捕まえて、連れてきたんじゃないよね?


「あのさ~和にちょっと訊いていい?」

「はい?」


やば。仮にも皇帝陛下相手に疑問符なんて。失礼にあたらないかと内心焦ったけど。


「別に大したことじゃないんだけどね」


またもボリボリとお尻を掻きながら、オッサ……おじさまはのたまいました。 全然気にしないタチらしい。助かった。


で、彼が発した疑問と言えば。


「君さ、何でバルドに着いてったの?」

「え?」


一瞬、言われた意味が解らずに目を数度瞬いた。そんなあたしを見て、フッと皇帝陛下が笑う。


それは、とても底意地が悪い笑い方だった。


「だからさ、きみ。どうしてバルドを信じたの? きみさ、こちらの世界に現れてすぐセリス王子に保護されたでしょ。彼が偽皇子を名乗ったのが嫌で、バルドに着いていく決意をしたと聞いてるけど。それっておかしくない? なんで初対面の人を何もかも預けるほど信頼したの?」


思わぬ詰問を受けて、驚いて皇帝陛下を見やれば。彼は鋭い光を宿す目でこちらを見据えてた。


そう、それは確かにバルドと同じ性質の。獲物を狩るハンターそのものだった。


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