異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
バルドと皇帝陛下はお話があるんだし、きっとあたしが出張っちゃいけないことだ。
そう思うのに……何だか寂しい。
しっかりしていた自分の足元がぐらついているような。そんな不安感も抱いていた。
(だ、ダメダメ! 暗い気持ちになれば思考がどんどん悪い方へいっちゃう。ネガティブも大概にしないと)
廊下でぶんぶんと頭を振っていると、クラクラ来て体がふらつく。
「わ、和さん。危ないですよ!」
久しぶりに聞く声とともに、頬にポフンと感じたのが柔らかな羽毛。
「あれ……この感じ……もしかするとレヤー?」
「はい、お久しぶりです」
顔を上げてみれば、何故かタキシードを着たレヤーがいましたけど。翼には木製の艶消しステッキを持って、頭にはシルクハットまで被ってらっしゃいますよ。
「あ……あなたその格好どうしたの?」
「これですか? 偶然皇帝陛下にお会いした時に、和さんと一緒に街にいくならそのままだとみっともない、って渡してくれたんです。似合いますかねえ?」
巨大な鳥が頬を染め(てるだろう)ながら、もじもじするのも怖いけど。
これだけ巨大な鳥の服……しかもぴったりなフォーマルウェアがあるって。
皇帝陛下……あなたは一体ふだんからどんな生活をされてるんですかっ!と突っ込みたいです。マジで。