異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



ここから渓谷までは、たぶん1kmくらいの距離がある。レヤーの速さがあればたぶん5分と掛からず着くだろうけど、襲撃を受けながらだと長く感じる。


「ナゴム、トナリニ!」

「レヤー、お願い!」


いくら防御魔法を掛けられているとはいえ、物理的な攻撃すべては防げない。そう、例えば――人の体を使った攻撃までは。


「はいっ!」


レヤーは返事をして、素早くロゼッタさんの斜め前に移動する。すると、後ろから襲ってきた刺客の腕を使った攻撃を、ロゼッタさんが手にした盾で防いだ。


ガキン! と派手な音がする。ロゼッタさんが斧を横なぎに振ると、それを避けた刺客は後ろに飛び退く。よくよく見れば、刺客は平べったい円盤みたいな乗り物に帰っていった。


「ええっ、あっちも空飛ぶなんて。そんなのあり!?」


数機あるフリスビーだかお皿みたいな移動機は、どういう原理だか知らないけどさほどブレもなくこちらをまっすぐ追ってくる。


まずい、と感じた。このまま渓谷に飛び込んだところで、あのままピタリと後をつけられる可能性が高い。どうにかして振り切らないと……。


ない頭を振り絞って一生懸命考えた。


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