異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「さすが和、レヤーの扱いに長けてるな」
「ほほほ、それほどでもありますわ~」
護衛のロゼッタさんが感心したようにおっしゃいますから、高笑いで謙遜しておきました。
ちなみに、彼女はいつもの戦士スタイルでもドレス姿でもなく、何故かスーツみたいな格好。赤いジャケットに体にピッタリフィットするタイトスカート……どうやら日本人がもたらしたものの一つらしい。
日本からこちらの世界にやって来るのは、以前ライムおばあちゃんが言ってたように「道」が出来るほど多いらしい。特に、ディアン帝国と日本人は縁が深いのか、公式の記録だけで10人はくだらないらしい。
(だから、こんなに現代日本に似た街並みなんだ)
舗装された道は黒いアスファルト。黄色や青の道路標識に、三色の信号。灰色の電柱の間には電線。あちこちに日本語が併記された店舗は、どう見ても懐かしいの個人商店。
「わ、なんか洋品店っぽいのがある。あっちは金物屋かな?」
ゲームショップやパソコンショップっぽいもの。ドラッグストアもどきまである。あとは商店街が存在していて、無いのはコンビニと巨大なショッピングモールくらいか? ってなくらい充実してた。
「なんか本当……日本とそう変わらないんだ」
「わたしも帝都には初めて来たけど、面白いね。変わったお土産がたくさん買えそうだ」
「そうだね。妹さんにもお土産を買うといいよ、あれなんかどう?」
ロゼッタさんの亡くなった妹さん。あたしとそう変わらない年だった彼女も、帝都に来たらきっと喜んだに違いないから。