異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「それなら逆でしょう?あたしの方がロゼッタさんのお世話になりっぱなしなんだから、あたしの方からプレゼントさせてよ」
あたしはディスプレイされた服のひとつを手に取ると、試しにロゼッタさんの胸に当ててみた。
それは緑色の薄い生地のチュニックで、丈が長いからワンピースとしても着られそう。ウエストが絞ってあるからシルエットが綺麗に見えて、スタイルがいい彼女にはピッタリだ。
「いや、わたしが和に贈るね!」
「あたしだって、ロゼッタさんには感謝してるんだから。いつも助けてくれて、いつも一緒にいてくれてどれだけ心強いか。すご~く、すごく感謝してるの。だから、あたしがプレゼントするの!」
「和こそ、わたしをいっぱいいっぱい気遣ってくれた。わたしだけじゃなく、たくさんの人を助けてきた。だから、わたしがみんなを代表して和に贈る」
「あたしが!」
「わたしが」
延々と同じやり取りを繰り返した後、店員が恐る恐るひとつの提案をしてきた。
「あの~……それだけ譲れないのでしたら、お互いに贈りあいされたらどうですか?」
遠慮がちな店員さんを見た後、私とロゼッタさんはお互いに顔を見合わせて噴き出した。
「なるほど、それいいね」
「プレゼント交換か。思い付かなかったな……でも、ナイスアイデア。ありがとうございます」
あたしがお礼を言うと、店員さんは困惑しながらも、ごゆっくりと頭を下げて離れていく。
「さてと、それじゃあ。ロゼッタさん、好きなのを選んでください。それをプレゼントさせてもらいますね」