異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「これ、どうかな?」
ロゼッタさんは遠慮がちながらも、ひとつの赤いチュニックを自分の胸に当てる。裾に金色の刺繍があって、肌が焼けた彼女に似合う。お値段もお手頃。うん、悪くない。
「よく似合ってますよ。でも、せっかくだから、試着してから決めましょ。サイズとか着た感じを確認してからの方が後悔も少ないですから」
さあさあ、とロゼッタさんを鏡がある試着室へ押し込むと、さっきの緑色のチュニックも渡しておいた。
「両方着てイメージを確認しましょう」
その間にあたしもロゼッタさんが選んだ民族衣装風の服を着てみることに。着方がわからないから、店員さんに教えてもらいながら悪戦苦闘。浴衣に似てるけど、微妙に違うんだよね。
お腹に気をつけながら着替え終わると、外ではロゼッタさんが既に待機してました。
赤いチュニックと白いレギンスを履いた彼女は、モデルさん並みの足の長さで、ナイスバディ。顔立ちが整ってるだけあって、ニューヨーク辺りを歩いててもおかしくないほどのビジュアルですよ。
「うわぁ、すっごく似合ってますよ。ズボンも買いましょ。このまま着ていけばいいですから」
「そ、そう? わたしにはよくわからないけど……」
腰に手を当てたロゼッタさんは、微かに頬を染めて鏡に映った自分を眺めてた。
「悪くないね、うん。気に入ったよ」
素直に喜びながらいろんな角度でポーズを取るロゼッタさんも、やっぱりごく普通の女性なんだなって解って嬉しかった。