異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「うわぁ……すごい!」


色んな種類の葉っぱや、乾燥させた実や、中には花や木の皮みたいなものや根っこまで。帝国のありとあらゆる植物のありとあらゆる部分が集まったような。不思議な空間があった。


もちろんそれは大半が乾燥されて変色してたけど、中にはペーストやいろんな加工をされた物も。


一見すると薬屋さんにも見える充実の内容だけど、この店を開いているなら目的は一つしかないだろう。


「もしかすると、カレーの為の調合をこうして研究しているんですか?」

「お、さすがだね。やっぱカレー好きな国民だけある。ほら、ここで手を洗いな」


蛇口を指さして言うからハンドルを捻って、流れた水で手を洗ってる最中……おや? と気付いたことがあった。


「あの……ニコラス公爵」

「ん~なんだい?」


すりこぎで実をゴリゴリと粉にし始めた彼に、さっきの発言についての素朴な疑問をぶつける。


「あなたがさっきわたしのことを“カレー好きな国民だけある”とおっしゃってましたよね?ディアン帝国でカレーは普及してないのに、なぜわたしをそのように揶揄したのですか?」


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