異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
《人間はよく血を問題にするが、我々からすれば愚かしいことじゃ。どんな世界からどんな土地から来ようが、生まれ育った地はまた特別じゃ。違うか?》
現れたヒスイは珍しく真面目な面持ちで、そんな真剣な話をしてくる。何があったかと信じられない気持ちのまま、黙って聞いてたら《聞いておるか!》と耳を引っ張られ怒られた。
「いたたっ! ちゃんと聞いてるよ」
《なら、そなたも解るじゃろう。生まれ育ったのが大和の地であれば、異世界の民と言われても受け入れられぬものじゃ》
「そりゃ……確かにね」
あたしは日本で生まれて日本で育った。心底日本人としての意識が染み込んでいるから、初めてこの国で真実を知らされてもにわかに信じられなくて。そんなバカなと思ったし。
だけど、いろいろ考えてみればおかしな点は幾つもあった。
最終的には動かない証拠を突き付けられて、認めるしかなかったけど。あたしが巫女ってのはかなり長い間信じられなかった。それは一番に、自分が日本人だという意識があったからだ。
それに……とあたしは服の下から秋人おじさんのペンダントを取り出す。代々の巫女が受け継いできたヒスイが宿る宝玉。これも信じる材料になったっけ。
《遂に、来たのじゃな》
ヒスイが何かを呟くと、翡翠のペンダントが淡く輝き始めた。
「そう、これが動かぬ証拠になりますな」
突然ヒスイが現れたにもかかわらず、ニコラス公爵は平然と成り行きを見守ってる。そして、ジッとペンダントに見入った。
「このペンダントが、喚んでいるのです。地下に眠るものを」