異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「先進文明……よくマンガや小説であるような、失われた文明だとか滅んだ文明とかそんなものか」


唯一の友達だった芹菜に借りてたファンタジーマンガに、そういったのがあったっけ。古代文明なのに、「現代」より遥かに進んだ文化や技術を持つのがセオリー。


どう見たって今見えてる古代文明の武器も、今のディアン帝国で造れるレベルではない……と思う。


だって、白銀色に輝く機体は一見メタルっぽいけど。機械にありがちな継ぎ目が一切見当たらない。表面上は人造だと判る金属以外、生き物と変わりないようななめらかな流線形で。今にも動き出しそうな躍動感を感じる。


これは、ただの巨大ロボットだのメカというレベルの存在じゃない。


そう感じたのは自分だからなのか、それとも水瀬の巫女としての直感なのか。


それを見つめているうちに――何故だか、胸にとてつもない痛みを感じて涙がこみ上げる。


どうして……だろう?


この古代兵器は……とても哀しい存在のような。そんな気がしてならなかった。



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