異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。




あたしがバルドに着いていったのは、“信じられる”と確信したからだった。


あの時はセリス王子に騙されたと知って、嘘に対して過敏になっていたけれど。確かに初対面から信じるというのもおかしい話だ。


彼を見た瞬間に“この人なら嘘をつかない”と見抜いた。実際にはその通りだったけど、どうしてあたしはバルドをそんなにも信じきったのだろう?


もしも彼があたしの巫女の力を使おうとよからぬ企みをしていたら、今ごろ世界は混乱を極めていたかもしれないのに。


(どうして……だろう? なぜ、あたしはバルドを信じた?)


額に手を当てて考えてみる。瞬間、ズキッと鈍い痛みが頭に走り顔を歪めた。


皇帝陛下からは答えを探せ、と言われ城を追い出された。なら、きちんと答えや理由を見つけてからでないと戻れない。


「これ、舌がヒリヒリ痛くて変わった味だけど、美味いね」


初めて食べるロゼッタさんはカレーをお気に召したようで、額に汗をかき顔を真っ赤にしながらおかわりをしてる。


レヤーは30辛を盛られくちばしから火を噴いてた。

< 686 / 877 >

この作品をシェア

pagetop