異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



(先進文明の古代遺跡……か)


明らかに、連中が狙っているのはこれだ。 古代兵器と共に封印されているのは、秋人おじさんの手によってではない。


でも、おじさんはこれらの存在を判っていて、このカレー屋を敢えて“ここ”。この場所に建てた。


あくまでもあたしの推測に過ぎないけれど、日本人しか入れないという秋人おじさんの強力な結界によって、結果的に封印は何重にも護られてきた。そんな気がする。


味を伝えるカレー屋の存在もそうだけど、ミッツ村であった押し花の存在やハルトからの伝言。そして、いろんな運命の導き。秋人おじさんはあたしを護るため自ら過去へ飛び込んだというけれど、彼がどうしてあたしの運命を知り得たのかという疑問は、まだ答えが得られてない。


あたしがこうして無事に帝都にたどり着いたのは、たくさんの人の協力があってこそだ。秋人おじさんが道筋を示して、いろんな協力者を用意しておいたから。


でなきゃ、もしかすると今ごろまだ沙漠でウロウロしながら死にかけていたかもしれない。


秋人おじさんに運命を告げて導いた人は……一体誰?


その人は、あたしより遥かに力がある。時間の制約を越えて秋人おじさんを過去へ飛ばす力があるんだ。


誰?


まさか、わざわざ異世界から渡って秋人おじさんにコンタクトを取ったとは思えない。


となれば……


現代日本にいた人間が……犯人というか実行者ということになるよね?


(え……でも)


お母さんは水瀬の巫女だったからある程度の力はあったにしても、あたしは一度も不思議な力を見たことはない。 それに、弟のようにかわいがってた秋人おじさんに、お母さんがわざわざそんな危険なことをさせるとは思えなかった。


となると……誰なの?


秋人おじさんを動かしたひとは。



< 693 / 877 >

この作品をシェア

pagetop