異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



突然ピピピッと電子音が鳴ると、おっさんは腕時計見て大きなあくびをした。


「そういやお昼寝タイムじゃん。じゃ、悪いけどあとよろしく~」


そう言いこてんと倒れたおっさんは、仰向けのまま爆睡した。大イビキをかいてヨダレを出して、鼻ちょうちんまで……どこまで基本に忠実ですか。


「申し訳ありませんが、ご退出願います。こうなったら何があろうが3時間は起きませんので」


侍従長にそう促されれば、従う他ないのだけど。何があってもってどの程度なのか気になる。


「3時間は起きないって……まさか、暗殺されても全然反応が無かったり」

「以前胸に槍が刺さっても眠ってましたよ。危うくそのまま永眠されるところでしたが」

「……………」


冗談半分に話してみただけなのに、真顔でそう返されて。ごめんなさいと言うしかないような。


……というか。


おっさん! あんた死にかけても平気で爆睡してるって。単に鈍いだけなのか。ゴキブリ並みに生命力が強いだけなのか。


謎過ぎる。


とにもかくにも、おっさんが眠った以上は出てくしかない。あたしはロゼッタさんと共に部屋から出て、逗留先へと案内された。


今のところあたしはまだバルドの正式な婚約者ではないから、お客様の身分であり皇族扱いじゃない。だから、皇族が使用する施設ではなく賓客用の建物へ案内された。


ここに滞在中に婚約の儀式を経て国中に告知され、それでようやくバルドの正式な妃として認められるらしい。


おっさんやアスカ妃は反対するそぶりはなかったから、大丈夫と思うけど。きちんと認められるか……不安はあった。


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