異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





「なごむ、どうした?気分でも悪いか?」


あたしがずっと俯いたままだったからか、護衛のロゼッタさんが心配そうに声を掛けてくれた。


そういえば、彼女は一番最初に接触したディアン帝国人の一人で。旅の最初からずっと着いて来てる。


たしかに、召喚されて初めて訪れたのはロゼッタさんの集落だった。一番近かったからという理由があったけど。


現れた場所=あたしの召喚に関わりがあるという考え方はしない方がいい。召喚の儀式はとても難しいものだと聞いたことがあるし、そんな力のある人がそうそう辺境にいるとも思えない。


「そういえば、ロゼッタさんの出身の集落で。魔術師とかいた?」

「魔術師? なんだそれ。わたしの集落には呪い師ならいたけど」


なぜ聞かれたのかわからないという状態で、ロゼッタさんはきょとんとした顔をしている。裏表がない実直な彼女だから、事実は答えの通りなんだろう。

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