異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第37関門~本当、なの?




お昼ごはんに大好きなカレーを食べたおかげか、久しぶりにお腹いっぱいになれた。

ここのところ軽いつわりでろくに食べられなかったからなあ。満腹感から眠気が襲ってくる。ミス·フレイルが気を利かせて膝掛けとショールを持ってきてくれたから、遠慮なく使ってうたた寝をする。


懐妊中は眠くなるのが自然だから、無理にガマンしないと聞かされてる。何もかも初めてだから、専門家や経験者の話を参考にするしかない。


そんなお昼寝も終わりに差し掛かった時、唐突に訪問者が現れた。




『失礼いたします、和様。ご面会のお申し込みがございますが、いかがなさいますか?』


うつらうつらと夢見心地に揺れる意識を、ミス·フレイルは容赦なく現実に引き戻してくれた。


「は……へ? 面会!?」


長椅子で仰向けに寝入ってたから、目を覚ましてすぐ慌てて体を起こし目を擦る。


あたしがこんな状態の時はミス·フレイルはいつも面会を断ってきた。それはあたしがバルドの妃になる立場だから、それより下の身分の人にはだけど。


けれども、今。ミス·フレイルはあたしを起こしてでも面会について訊いてきた。となれば……バルドと同等かそれ以上の身分の人が訪ねてきたということ。


その点に思い至った時、あたしは急いでミス·フレイルに訊いた。


「お訪ねしてきたのはどなたですか?」

『……ライネス皇子殿下でいらっしゃいます』


ライネス皇子と聞いて、すぐにそれが皇后陛下の産まれた第2皇子でバルドの弟。そして帝都で重要な政務を担う有力な皇子と思い出した。


けど……どうしてわざわざあたしを訪ねてくるんだろう。しかもバルドがいない時を狙って。

< 716 / 877 >

この作品をシェア

pagetop