異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「なるほど。異世界の女と言うものは、得てして変わったものらしいな」


ライネス皇子の発言に引っかかるものを感じて、どうしてもその場で確認しておきたかった。


「得てして……ということは、殿下は他の異世界の女性にお会いしたことが?」

「ふ、やはり気づいたか」


ライネス皇子はロゼッタさんとミス·フレイルに、まあまあと両手を差し出した。


「そう親の敵のように睨むな。今日は顔を見に来ただけで、どうこうしようと言う意図はない。もてなしも一切要らぬ」


さて、とライネス皇子はあたしへの答えを口にした。


「いかにも。俺はセイレスティア王国の王太子妃となった、ユズに会ったことがある」

「……それは」


よもや、あたしとバルド以外にユズに会った人がいるなんて予想外だった。まさか条約締結時のセイレム王国に? でも、第2皇子がいたなんて情報は何もない。


「差し支えなければ、どちらで会われたのかお訊ねしても?」

「なかなか慎重のようだな。それでいい。……ユズと会ったのは、セイレスティア王国でだ。セイレスティアに奪われたユズを取り戻そうとしてな」

「……え」


そこで、ライネス皇子は真剣な瞳になりあたしにこう告げた。


「ディアン帝国が一度総力を挙げて召喚した伝説の言霊の姫……それがユズ。先に必要とされたのが彼女で、もしも成功していればおそらくあんたは召喚されていない。つまり、あんたは二番目に過ぎなかったという事実を忠告しに来た」


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