異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「それはそうだが?」
「はぁ!?」
“仕方なく召喚したから2番手で人形扱い”という話をバルドがいともあっさりと肯定して、あたしは開いた口が塞がりませんよ。
なんの躊躇もフォローもなしですか。清々しいまでのゲスっぷりですね。
「バルド……それ、本気で言ってるの?」
呆れて良いのか、怒るべきか、悲しむべきか、失望すべきか。バルドのいつもと変わらない飄々とした態度で、まったくもってわからない。
「そうだが?」
バルドはあたしの念押しにシレッとした顔で答えた後、腕を伸ばしてあたしの頭を抱え込んだ……苦しいですよ、呼吸が。酸素が。
「かつてはそう考えた。この国とオレの為になる政治的な駒と……だが、今は違う」
「今は?」
「ああ」
彼の顔を見ようと身動ぎしても、両手でがっちりと動きを封じられて不可能です。おまけに布団を被されて視界が遮られてる。なんでこんなに見せてくれないの?
「……言っただろう、オレはおまえだから必要なのだと。でなければ、水瀬の巫女だろうが妃になどしない」