異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
バルドはボソッと話す。
「母上もおまえのことは気に入って下さった」
「え、そうなの?」
「ああ、おまえが身体を張って戦いを止めただろう。あれで母上は“流石に水瀬の巫女じゃ。ヒトミも勇ましかったがそれ以上で気に入ったぞ”と笑ってらした。孫を鍛え上げる為に今から計画を練っているらしい」
「……って、ちょっと! まだ生まれてないうちから、やめてー! あなた達のスパルタ式……一般人だと下手すりゃ死ぬわ!!」
バルドから義理の母になるアスカ妃の言葉を聞いて、認められたんだとほっこりした後……やはり親子だと思わざるを得ない展開に、ムンクの叫びさながらに叫んだ。
……ってか、アスカ妃。ふつう、孫には服とかおもちゃとか用意しません? 鍛えるために計画って……筋力強化の赤ちゃん用装着器具とかマシンとか作りそうで、怖すぎる。どんだけ鍛錬が好きなんですか、アナタ方は!
すると、バルドはあたしの頭を撫でながらこう話してくれた。
「大丈夫だ、オレからも話しておく。せいぜい生後半年から始めるようにと」
「……ちょ、生後半年って! やっと首が座るか座らないかなんですが!」
「そういうものなのか? オレも母上もそれくらいから歩けたらしいが」
「え、そりゃすごい……って! アスカ妃やバルドの成長が早いからか、お母様の鍛錬のお陰かは知らないけど。ふつう、それはあり得ないよ! たぶん……だけど」
あたしも赤ちゃんの成長や子育てに関しては最近学び始めたばかりだし、一般的な基準しか聞きかじってないけど。アスカ妃やバルドの生後半年から歩いたってむちゃくちゃ過ぎる……。2人が規格外なのか、それとも鍛錬の成果か。
一つだけ言えるのは、ふつうじゃないってこと。あり得ないよね、これは!?