異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。


そんなふうにバルドと言い合いができたのは、よかった。


くたくたのまま、彼の添い寝で安心して眠りに落ちる。


(よかった……ちゃんと話せて……やっぱりバルドは変わらないよ……ね)


きっと、大丈夫。何か問題があっても2人……ううん、子どもと3人で乗り越えられる。そう信じてた。





その夜、夢を見た。


お母さんや秋人おじさんとよく遊びにいった河川敷の公園で、そこには四季折々の花も楽しめるよう色んな花も植えられてた。


花壇の花は無理だけど、野に咲く花を摘んで花輪を作ったり。押し花にしたり。そうそう、秋人おじさんは器用に作ってたなって懐かしく思う。


対してお母さんは不器用で、よく失敗してはムキ~! と吠えてた。その真っ赤な顔を見て、秋人おじさんとよく笑って。お母さんは更に真っ赤になって怒ったっけ。


今回も、そんなやり取りを繰り返していたのだけれど……


なぜか、お母さんは急に押し黙ってしまった。


なんだろう? と思って見上げると……お母さんの顔が真っ青になって震えてる。急に心配になって、お母さんのもとに駆けつけた。


「お母さん、だいじょうぶ? おなか、いたいの?」

「うん、大丈夫よ和。ありがとう……あなたは優しいいい子ね」


お母さんはそう言って頭を撫でてくれるから、嬉しくなって笑う。


「……でも、きっと。それは悲しみの元となる……だから、あなたを絶対、あちらへ行かせたくはないわ。和、お願い。あなたはここで……日本で生きて。ただの女性として、ふつうの幸せを掴んで……でなければ。大きな災いが起きてしまう。その血ゆえに」



< 733 / 877 >

この作品をシェア

pagetop