異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
お母さんはあたしの強すぎた力を封印するため、生命力を消耗しきって死んだ……。
秋人おじさんはあたしの運命を変えるため、過去の異世界へ渡ってディアン帝国成立に尽力した。
そして、その血は最愛の人であるバルドへ引き継がれてる。
だけど……。
「バルド……ごめんなさい。あたし……本当にバカだった。何もわかってなかった。自分が持つ力をよく理解してなくて……大したことないって思い込んで。大神様にも言われてたのに……」
怖い、と彼の胸元を握りしめた。勝手に震えがくる。
永霊界で、極光明徳大神に聞いた。あたしは世の王なる者の血縁で、物理的には絶体的な力を使える……って。血縁を通じてるから制約はあるけれど、神と等しい力があるのだと。
あの時は大したことがない話だと、何とも思わなかった。だってそんなの信じられるはずがなかったし、あり得ないって。
でも……
たった3歳で無意識に川の流れを変えてしまえるような。そんな力が本当に目覚めて暴走すれば……
もしかすると、古代兵器以上に危険なのはあたし自身なのかもしれない。
その可能性にようやく思い至った時――闇を狙う奴らの思惑がようやく解った。
奴らの狙いは、古代兵器なんかじゃなかった。あたし自身だったんだ。
「嘘……本当なの? あたしが……あたしがいるから……こうなったなんて」
「和」
バルドは下手な慰めもせず、ただ名前を呼んで抱きしめてくれる。あたしは、この世ですがるのが彼しかないように感じて、ギュッと彼に抱きついた。
これから何かが起きる予感に、胸をざわめかせながら。