異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「だって……あたし……わかんないよ。わがままって……どうすればいいの?」
誰かに頼るより人に頼られたい、という願望が強かった。誰かに必要とされるために、無駄に頑張って空回りすることも多くて。
それでも、ちょっとでも自分の存在を認められたり肯定されれば嬉しかった。
あたしも、ちっちゃい頃はこうじゃなかった。もっと好き勝手に生きてたように思う。
だけど、秋人おじさんが居なくなって。ほどなくお母さんが亡くなって……秋人おじさんの姉であるおばさんが引き取ってくれたけど、彼女も半年と経たず亡くなって。そのあとは義理の家族にいびられ、こき使われながら生きてきた。
9歳で甘えることを許されなくなって、家政婦がわりに家のすべてを取り仕切るのが当然になったんだ。お母さんがあれこれ教え込んでくれていなきゃ、もしかすると役立たずと追い出されていたかもしれない。 薄情なあの人たちならそれくらいしかねなかった。
わがままなんて、言えるはずもなくて。欲しいお菓子や雑貨や文具があっても、義理の妹のお下がりを待つしかない。水仕事で手を荒らし家計簿の収支に悩む小3なんて、あたしくらいで。スーパーのチラシを手に学校に通うなんて当然。
学校以外全ては義理の家族のお世話に明け暮れ、小学校も中学校もいい思い出はほとんどない。だから、いつの間にかわがままなんて言えなくなってたし、甘え方も忘れてしまってた。