異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
地獄の特訓が始まって5日目――
流石に休息も必要だろう、とロゼッタさんがかなり意見してくれたお陰で、夕食(特訓)後から就寝までを自由時間にしてもらえた。
とはいえ、2時間かそこらじゃどこかへ行ったり何かをするには時間が中途半端だ。なら、と久しぶりにレヤーを招いてのお喋りを思いついた。
カレー屋に行って以来顔を合わせてなかったこともあるし、彼から何か話があるとも聞いていた。たぶん、これを逃せば話せるのはまた何日か後になるだろうし。
ミス·フレイルの介入した厳しい体重制限のお陰で、夕食後のデザートがなしにされて。レヤーだけがシェフ特製のスイーツを頬張る。恨めしげな目で見てたら、彼は思いっきり喉を詰まらせた。
「あらら、だからそんなに窶れ気味なんですか」
お茶で何とか飲み込んだレヤーはあたしの恨み節を聞いて、涙目のまま頷く。
「そうだよ。体重制限が厳しい……いくら妊婦さんの健康のためって言っても……5キロ以上増えるなはキツイでしょう」
あたしがぶつぶつと食べ物に対する恨み辛みをひたすら聞かせていると、レヤーがげっそりと痩せてると気付いたのは2時間経ってから。どうやらあたしも相当フラストレーションが溜まってたらしい。
「そ、それは大変ですねえ……あ、そういえば」
心なしかじゃなく確実に一回りはスリムになったレヤーは、サラリと口にした。
「翡翠さんはあの地下遺跡の異常を感知したらしいですよ。調べてみるっておっしゃってました」