異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



ロゼッタさんが連れてきてくれたのは、民家より少し大きめのお店。商品は並べてないけど? と不思議に思って見ると、ドアを開いた途端にむわんと熱気と湯気が漂ってきた。


お風呂というかお湯独特の匂いが鼻をつく。


「えっ……まさか?」


木製の回転ドアを潜ってみると、より濃い湯気に出迎えられる。ドキドキと期待に胸を膨らませると、店員と話したロゼッタさんはあたしの腕を掴んでそのまま奥に進んでく。


狭い室内を通り過ぎて簾を捲り上げれば、期待通りに石に囲まれた温泉が広がってた。


「うわあ、お風呂だ! お風呂だ~!!」


ぴょんぴょんと跳びはねて喜んだって、別にいいよね。なにせ、10日ぶりのまともなお風呂なんですよ。しかも今は、身体中砂でジャリジャリ。嬉しくないはずないですって。


「ナゴム、オンナノコ。カラダ、キレイキレイスルー」

「うん、ありがとう! ホントうれしい~」


ロゼッタさんが気を利かせてくれたんだ、と気づいて思わず抱きついてしまいました。彼女は笑って、あたしの背中をポンポンと叩いてくれる。


……のはいいけど。


いきなり、服を脱がせようとするのはやめてー!


あなたぐらいのナイスバディなら人に見せても良いかもだけど、あたしの貧相な体は目に毒ですから!



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