異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「え、銀色に輝くモノって……カレー屋の地下にあった古代兵器のこと?」
そんな馬鹿な、と思う。だってあのカレー屋は帝都全体の封印の要となっていて、秋人おじさんの強い意志が堅牢な力となってた。もともと施されていた地下遺跡のものと、二重の封印でそう簡単に消えるものでは無かったはず。
「結界は……帝都全体に張られたものはあちこちで揺らぎを感じます。そのせいで地下遺跡の封印が感知しきれません」
レヤーがすごく真面目な顔でそう教えてくれるから、あたしも探索できないかと短剣を手に集中してみる。
カレー屋で感じた封印のイメージを思い描き、それの行方を問いかけると……あの、緑色の葉脈のようなビジョンが脳裏に浮かんでくる。それは昼に視た時はしっかり繋がって力の流れを感じたのに、今はレヤーの言う通りにあちこちで流れが切れて波のように揺らいでる。それどころか、弱まった部分が霞のように消えてる。
つまり……帝都全体の封印が、何者かの妨害で消滅しつつあるということだった。
今の今まで邪なことがあれば排除し帝都を護ってきた封印が……壊れる!?
「だ……ダメ! あの封印が壊れたら……きっとよくないことが起きる。【闇】の意のままになる」
あたしは急いでレヤーに問いかけた。
「レヤー、どうすればいい? この封印を強化するには」
「あのカレー屋に直接出向くのが一番ですが、危険な賭けです。おそらくそれであなたを誘き寄せようとする連中がいますから」