異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「ぐはっ! 美少女過ぎる!!」


思わず出てしまったのは、本能的な声。あたしがオヤジでしたら、ハアハアと息が荒くなってたかも……な。


温泉でぶつかってしまったのは、これまたすごくかわいい美少女。ふわふわの栗毛は長くて、色白で、まつ毛ビシバシの大きな瞳は濡れたような緑色。うっすら赤らんだ肌が……艶やかです。


ど、どこかのお嬢様? そう言いたくなるほど、華奢で可憐な雰囲気を纏ってた。


「だ、だだだだ……ダイジョブ? カラダ、痛くナイ?」


お姫さま(仮)に何てことを! と慌て過ぎたあたしは、意味不明にロゼッタさん風の話し方になってしまった。いや、それ以前に日本語全開だろってツッコミは無しで。


「……日本語?」


あれっ? 今、お姫さま(仮)の可憐な唇から、聞き慣れた単語が出ませんでしたか?


「は、ハイ! ワタシ、日本語喋りマース」

「やっぱり……」


お姫さま(仮)はなぜかあたしの手をしっかりと掴むと、頬を赤らめ瞳を潤めながら上目遣いでこちらを見上げ……う゛ぁああ……なんですか、その破壊的な可愛さは! 無意識にやってたらホンモノの小悪魔ですぜ。


鼻血が出る寸前で、その唇から出たのは。


「お願いします! 巫女さま。わたしが仕える妃殿下とお会いしてください」


……まったく予想外の言葉だった。



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