異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「周囲の景色に同化する術と結界術をかけました。しばらくは大丈夫ですよ」


レヤーがそう言ってくれたお陰で、安心して集中することができる。彼が震えながら涙目なのは、さっき刃を突きつけられた恐怖からかもしれない。


「……あれ?」


勾玉がほんのりと熱を持ち、淡く輝いているけれど。それに呼応するかのように、涸れ川の一ヶ所で点滅する光が見えた。今までまったく何も無かったのに……。


不思議に思って近づくにつれて、不可思議なことが起きる。その輝きは徐々に広がっていき、やがて川底全体を光らせる。緑色の仄かな光も、これだけ集まるとかなり目立つ。


やがて、ふわふわと光の球が底から浮かび空へと舞い上がっていく。その幻想的な光景に見とれていると、ふわりと薄衣が目の前に舞った。


《ようやく見つけたか》

「ヒスイ!」


あたしの目の前に、ヒスイが出現した。今の今まで地下の遺跡にいたはずなのに、突然出てくるなんて。いろいろと言いたいことはあったけど、とにかく1つだけはっきりさせたいことがある。


「ヒスイ、地下の遺跡は? 古代兵器は?」

《今のところ封印は完全に解けてはおらぬ。じゃから、今のうちじゃ。そなたの巫女の力で再び封じ込めるがよい。二度と、人の手に渡らぬようにな》


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