異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



――それが、今より前の科学を隆盛する時代の始祖となった2人。科学を万能と見なした人びとは、そのテクノロジーで大陸のみならず、惑星全土を支配せんとの野望を抱く。


曖昧な存在を許さずに、全てを数値化して明らかにし、管理支配する世界。争いを無くす為に人びとのみならず、どんな生命や植物だろうが一つ一つが記録され“規格”に沿わねば処分という結末が待っていた。


それは、人も然り。


完全に支配し管理せねば人びとは争う。欲望や自我を持てば必ずや同じ過ちを繰り返してしまう。心のままに振る舞うなど野蛮な行為に他ならない。人は、管理せねばいずれまた滅びの道を歩んでしまう。


人も、惑星のすべてもコントロールせねばならないのだ。


前の科学文明を築いた始祖2人はそう結論付け、管理するために人びとの体内にナノマシンと管理用のタグを埋め込んだ。



遺伝子レベルで人びとを操作し、子孫もマッチングの結果最良の組み合わせとなる相手のみと作ることが許されない。性欲など犯罪の動機に他ならないと完全にコントロールされた。


数百年かけて2人は理想郷を造り上げることに邁進した。自らの身体をクローンで造り上げ、記憶を移植し生きながらえながら。今度こそ間違いなく人びとの楽園を創るために。


けれども……


完全に管理され支配を受けるという世界に、周辺国は当然反発した。そして、再び始まる戦争。始めは小競り合いだった――しかし。悪魔の兵器を改良したそれで、2人は容赦なく周辺国を攻撃する。己の意思と反する存在を許せないとばかりに。滅びた国はいくつあったか――そして。


数百年眠っていた【龍】は、再び起動した。人びとの安寧を害する存在を駆逐するために。


そして、前の科学文明は滅びたのだった。


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